「目力を出したいから」と二重幅を極端に広げると、かえって目が小さく見えたり、生気のない表情になったりします。これには美容外科の臨床現場でも指摘される、まぶたの解剖学的な構造と顔全体のバランスが深く関わっています。
日本人の多くは、彫りの深い欧米人と比べて眉骨(眼窩上縁)の突出が少なく、まぶたの皮膚や眼輪筋、眼窩脂肪が厚い特徴を持っています。厚みのある皮膚を無理に高い位置で引き込もうとすると、折り込まれた皮膚が乗っかり、ぷっくりと膨らんだ二重幅広すぎハム目が形成されてしまいます。これは薄いまぶたであれば自然に収まるラインであっても、厚みのある組織ではソーセージのように盛り上がってしまう物理現象です。
さらに見逃せないのが、眼瞼下垂と幅広二重の関係です。まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)は、まつ毛に近い位置を引っ張り上げることで効率よく目を開きます。しかし、高い位置で二重を作ってしまうと、持ち上げるべき皮膚の重量が増加し、開瞼抵抗(目を開ける際のブレーキ)が強まります。その結果、黒目が上まぶたに隠れて眠たそうな目元になり、「幅は広いのに黒目が小さく見えて変」という逆転現象が生じるのです。
取材した形成外科専門医は次のように証言しています。「顔立ち全体の立体感を無視した無理な平行二重のオーダーは、まさに似合わない二重の特徴の典型です。目そのものだけでなく、鼻根の高さ、眉と目の距離、蒙古襞(もうこひだ)の張り方を総合的に診断しない限り、どれほど綺麗なラインを引いても『顔から目元だけが浮いてしまう違和感』を消すことはできません。」