『恋音と雨空』は、2013年9月4日にAAAの通算38枚目のシングルとして世に放たれました。同年9月18日に発売された8枚目のオリジナルアルバム『Eighth Wonder』の先行シングルとして位置づけられ、大手旅行代理店「H.I.S.」の中部秋キャンペーンCMソングや、イトーヨーカドーのCMタイアップとして大量オンエアされたことで、瞬く間に日本全国のお茶の間へと浸透していきました。
作詞・作曲を手掛けたのは新進気鋭の音楽プロデューサー・岡村洋佑氏。そこにメンバーの日高光啓(SKY-HI)が自らの言葉で紡いだRap詞が組み合わさることで、美しくも切迫感のある独特の音世界が構築されました。制作陣がこだわったのは、誰もが一度は経験する「雨」という情景に、胸の内で燻る感情の起伏をシンクロさせることでした。関係者の証言によると、当時のAAAはダンスチューンやアッパーなナンバーでライブ動員を急拡大させていた時期であり、本作のような徹底的に叙情性へ振り切ったミディアムバラードの投入は、グループのボーカルグループとしての力量を世に知らしめる乾坤一擲の勝負作でもありました。
その狙いは見事に結実します。同年末の「第55回日本レコード大賞」において堂々の優秀作品賞を受賞。さらに同年の「第64回NHK紅白歌合戦」に出場を果たし、白を基調とした洗練されたステージ演出とともに切ない歌声を響かせました。特筆すべきは、2年後の2015年「第66回NHK紅白歌合戦」においても再び同曲が歌唱曲に選出された点です。数々のヒット曲を持つダンス&ボーカルグループが、同一のバラードを異なる年の紅白で再度披露するのは極めて異例であり、いかに本作がグループの代名詞として国民的な支持を獲得していたかを物語っています。