どれほど細心の注意を払って保存していても、冷蔵庫から出した直後のシャリはどうしても冷たく引き締まっています。ここで威力を発揮するのが、科学的アプローチによる寿司の温め直し電子レンジ活用術です。
「寿司を電子レンジにかける」と聞くと、刺身が煮えてしまうのではないかと警戒する人が大半です。しかし、デンプンの老化(β化)は、熱エネルギーを加えることで再びふっくらとしたα化の状態へと可逆的に戻すことができます。成功の秘訣は、ネタを外してシャリだけを温めるか、あるいは「超短時間のマイクロ波照射」を行うことです。
ネタを外せる握り寿司の場合、シャリだけを耐熱皿に並べ、ほんの数滴の日本酒または水を指先で軽く振りかけます。ふんわりとラップをかけ、500Wで10秒〜15秒程度だけ加熱してください。指で触れて「ほんのり温かい(人肌程度)」と感じる状態になれば大成功です。冷えて凝固していた米粒同士が解きほぐれ、炊きたてのような粘りと酢のまろやかな香りが劇的に蘇ります。そこに常温に戻しておいたネタをそっと乗せ直せば、昨夜の握りたてに近い口当たりを取り戻すことが可能です。
もしネタを外すのが難しい場合や、翌日の生魚をそのまま食べる衛生面に少しでも不安があるなら、「炙り寿司(あぶりずし)」へのリメイクが極めて効果的です。耐熱皿に寿司を並べ、マヨネーズや少量の醤油を垂らし、魚焼きグリルやトースターで1〜2分、表面に軽く焦げ目がつく程度に加熱します。表面の雑菌を熱で殺菌しつつ、溶け出した魚の脂が温まったシャリに染み渡り、前日とは全く異なる極上の香ばしさを堪能できます。