ロックやヘヴィメタルの現場で使われるスクリームは、大きく分けて2つの潮流が存在します。高音域で鋭利なノイズを散らす「フライスクリーム」と、地を這うような重低音の「フォールスコードスクリーム」です。多くの初心者が挫折するのは、この2つの明確な境界線を理解せず、中途半端な力みで両者を混ぜて発声しようとするためです。
フライスクリームは、声帯をしっかりと閉じた状態で隙間から微量の呼気を漏らし、ジリジリとした細かな摩擦音を作る技術です。ホラー映画『呪怨』に登場するような「あ゛あ゛あ゛」というエッジボイス(ボーカルフライ)をベースにし、そこに咽頭腔の共鳴を付加して音色を増幅させます。声帯そのものの振幅が極めて小さいため、正しいフォームを維持していれば長時間の歌唱でも喉への物理的負担が最も少ない手法とされています。
一方、いわゆる本格的なデスボイスのやり方として語られるフォールスコードスクリームは、真声帯のすぐ上部に位置する「仮声帯(フォールスコード)」を振動させる手法です。通常の会話では機能しないこのクッション組織を、脱力した喉に特定の息の通し方をすることでバタバタと激しく羽ばたかせます。マキシマム ザ ホルモンのような咆哮や野太いグロウルは、この仮声帯のダイナミックな振動によって生み出されています。