多くの観光客が陥りやすい最大の誤算は、夜景鑑賞のゴールデンタイムとされる函館山夜景日没時間の捉え違いです。「夜景=完全に真っ暗になってから見るもの」という固定観念は、現地では大きな失敗を招きます。
函館の地形美が最も美しく輝くのは、太陽が沈んだ瞬間ではなく、日没後およそ20分から30分後に訪れる「ブルーモーメント(黄昏時のマジックアワー)」です。空に深い藍色のグラデーションが残り、街の灯りと海の輪郭が奇跡的なコントラストを描くこの時間帯こそが、いわゆる100万ドルの真価を発揮する瞬間です。完全に空が暗黒化してしまうと、津軽海峡と函館湾の境界が闇に沈み、ただの光の塊に見えてしまうという盲点があります。
さらに深刻なトラップが、レンタカー利用者が直面する函館山ロープウェイ駐車場混雑とマイカー規制の実態です。
「レンタカーを借りているから車で山頂まで行けばいい」という考えは、春から秋の観光シーズンには通用しません。函館山登山道(函館山観光道路)では、4月中旬から11月上旬にかけて、夕方17時(または16時)から22時まで一般車両(レンタカー・マイカー)の通行止め規制が敷かれます。この時間帯は観光バス、タクシー、許可車両以外は登山道を通行できません。
「それならロープウェイ山麓駅の駐車場に停めよう」と向かった観光客を待ち受けるのが、山麓駅前駐車場の極端なキャパシティ不足です。山麓駐車場は普通車の収容台数が限られており、観光バス枠が優先されるため、夕方16時半を過ぎると満車による入庫待ち渋滞が発生します。元町特有の急勾配で狭い坂道で立ち往生し、日没の瞬間を車内で迎えてしまうという悲劇が後を絶ちません。車でアクセスする場合は、山麓駅周辺を避け、ベイエリアや函館駅周辺の市営駐車場に停めて市電と徒歩でアプローチするのが最も安全な選択肢です。