ゲラン伝説の名香ルールブルー!廃盤の真相と100年愛される決定打

ゲラン伝説の名香ルールブルー!廃盤の真相と100年愛される決定打

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フランス語で「青の時間」を意味する「L'Heure Bleue(ルールブルー)」。写真や天文学の世界で「ブルーアワー」と呼ばれるこの時間帯は、太陽が地平線の下に沈み、夜の帳が降りる直前、空全体が神秘的な青一色に染まるわずか数十分の黄昏時を指します。

1912年の夏、調香師ジャック・ゲランはパリのセーヌ河のほとりを歩いていました。昼の喧騒がふっと静まり返り、まだ夜の星々も瞬き始めていない、息を呑むような静寂。「空が自らの青さを失い、夜の闇に呑まれる前の、完璧な調和の瞬間」に遭遇したジャック・ゲランは、強い感動に突き動かされてアトリエへと戻り、この情景を香水として描き出すことを決意したと伝えられています。

当時、ヨーロッパはのちに第一次世界大戦へと突き進む直前の「ベル・エポック(美しき良き時代)」の終盤にありました。人々が無意識に感じ取っていた時代の翳り、儚い平和への慈しみ、そして底知れぬ哀愁。ブルーアワーの黄昏時の魅力とは、単なる自然現象の美しさにとどまらず、失われゆく平穏な時間を慈しむ人間のセンチメンタリズムと分かち難く結びついていたのです。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。