多くの顕花植物は、花を大きく開いて昆虫を誘引したり、風に乗せて花粉を飛ばしたりする「他家受粉」を選択します。ところが、エンドウは花が完全に開ききる前の「つぼみ」の段階ですでに受粉を完了させています。
竜骨弁が雄しべと雌しべを隙間なく密閉しているため、つぼみの中で雄しべの葯(やく)が破裂すると、花粉は外部へ飛散することなく同じ花の中の柱頭に直接付着します。これをつぼみの中での受粉、すなわち自家受粉(閉花受粉の仕組み)と呼びます。
天候不良で花粉媒介昆虫が飛来しない状況でも、エンドウは100%に近い確率で確実に種子(豆)を残すことが可能です。無駄な花粉の浪費を防ぎ、極めて高効率に子孫を残すための進化の結晶といえます。