主演を務めた田辺桃子の「どこにでもいる一生懸命な等身大の女性」を演じるリアリティが、物語の土台を強固にしている。彼女の疲弊感や、ふとした瞬間に見せる安らぎの表情があるからこそ、視聴者は感情移入を深めずにいられない。
そして何より強烈な印象を残したのが、仁科役を演じた小島健(Aぇ! group)の怪演だ。普段の立ち振る舞いは紳士的で美しく、完璧な「癒やしのお兄さん」そのもの。しかし、自室に戻った瞬間に目つきが一変する。あの無機質でありながら情熱を孕んだ瞳の演技は、視聴者の背筋を凍らせた。2人の演技が噛み合わさることで、嘘と本心が交錯する緊迫した空間が見事に立ち現れたのである。