日本とベトナムの交流史は、400年以上前の16世紀末から17世紀初頭の朱印船貿易時代にまで遡ります。当時、中部ベトナムの港町ホイアンには大規模な日本人町が形成され、商人たちが往来し、茶道や陶磁器などの交易を通じて深い信頼関係が築かれました。現在もホイアンに残る「日本橋(来遠橋)」は、その歴史的絆を象徴する世界遺産として親しまれています。
近代に入ると、20世紀初頭にベトナムの独立運動指導者ファン・ボイ・チャウが主導した「東遊(ドンズー)運動」が展開されました。日本の近代化に学ぼうと多くのベトナム人留学生が来日し、静岡県袋井市出身の医師・浅羽佐喜太郎が無私の支援を提供した逸話は、両国の友情の原点として今なお語り継がれています。
第二次世界大戦後の激動期を経て、1973年9月21日に日越外交関係が樹立されました。冷戦終結とベトナムのドイモイ(刷新)政策の進展に伴い、日本は1992年に政府開発援助(ODA)を本格再開。橋梁や港湾、空港といった基幹インフラの整備を主導し、ベトナムの経済成長を強力に後押ししてきました。そして国交樹立50周年の節目となった2023年、両国首脳会談を通じて関係性は「包括的戦略的パートナーシップ」へと格上げされ、歴史的な新章へと突入しています。