高齢化と過疎化に直面する中山間地域にとって、休耕田を活用した蕎麦栽培は一筋の光明となっている。米に比べて生育期間が約75日と短く、冷涼で水はけの良い傾斜地でも良く育つ蕎麦は、土地の有効利用において極めて優れている。そこに「花鑑賞」という観光価値を付加したことで、地域の経済構造は大きく変わり始めた。
秋の開花期に合わせて開催される「新そば&花まつり」などのイベントは、周辺の温泉地や道の駅、古民家ホテルへの滞在型観光へと波及。単なる「通過点」だった農村が、数日間滞在して心身を癒やすリトリートの拠点へと生まれ変わっている。花を観て、新そばを味わい、地域の加工品を買い求める——一連のストーリーが生み出す経済波及効果は、年間数億円規模に達する地域も少なくない。