頭では「別れるべき」「断るべき」と分かっているのに、なぜ人は引き止められると踏みとどまってしまうのでしょうか。情に流される理由には、人間の認知バイアスが巧みに作用しています。
第1に「サンクコスト効果(埋没費用効果)」です。これまで相手に費やした時間、お金、感情のエネルギーが大きければ大きいほど、「いま手放すとすべてが無駄になる」と錯覚し、関係を維持しようとします。
第2に「罪悪感の回避」です。自分が関係を断ち切ることで「相手を深く傷つける加害者になりたくない」という心理的防衛が働きます。相手が涙を流したり弱気な姿を見せたりすると、情が刺激されて決断が鈍ります。
第3に「現状維持バイアス」です。未知の孤独や環境変化への恐れから、不満のある現状を無意識に選び続けます。人生の重大な局面では、情と理のバランスを意識的に整えなければ、感情に引きずられて長期的損失を被ることになります。