インターネット上で「オーサムシティクラブ 解散の噂」が定期的に再浮上する背景には、いくつかの構造的な要因が存在します。最大の引き金となったのは、2021年の「勿忘」による爆発的なブレイク直前に2名のオリジナルメンバーが立て続けにバンドを離れたという事実です。世間一般に広く認知されたタイミングが5人から3人への移行期と重なっていたため、後からバンドを知ったリスナーが過去のMVや初期のアーティスト写真を目にした際、「メンバーが減っている」「空中分解寸前なのではないか」と錯覚した経緯があります。
さらに、大ヒットに伴う過密なメディア露出が一段落した際、メンバー各人が個人名義での活動幅を大きく広げたことも噂に拍車をかけました。ボーカルのPORINがアパレルディレクターやメディア出演、ソロプロジェクトを展開し、メインコンポーザーのatagiが他アーティストへの楽曲提供に注力する姿を見て、「個々の活動にシフトして実質的な活動休止に入った」と邪推する声がネットコミュニティで散見されたのです。
しかし、音楽関係者や現場スタッフへのリサーチからも明らかなように、バンドの制作意欲やライブへの熱量が途切れた事実は一切ありません。オーサムシティクラブはメジャーデビュー以降、幾度もの転換期を経験しながらも、シティポップやブラックミュージックの文脈を取り入れた質の高い楽曲をコンスタントにリリースし続けています。「解散説」の実態は、メンバーの自立的な多角展開と急速な認知拡大が生み出した単なる情報ギャップに過ぎません。