ハーフタレントに対して世間が抱きがちな最大の先入観が、「海外ルーツの親がいるのだから、当然英語や外国語がペラペラなのだろう」という思い込みです。しかし、実際の育成環境を検証すると、この図式は必ずしも成り立ちません。
日本国内で生まれ育ち、地域の公立学校に通っていた場合、家庭内での公用語が日本語であれば、外国語に触れる機会は他の純日本人の家庭とほとんど変わりません。かつてバラエティ番組でブレイクしたウエンツ瑛士さんやJOYさんは、「見た目は完全に外国人風なのに、英語が全く話せない」というギャップを笑いに変えて人気を博しました。しかし、その裏側では深いアイデンティティの葛藤が存在していたことが、数々の手記やドキュメンタリーで語られています。
「子どもの頃、道を聞かれて英語で答えられず、相手から『なんだ、喋れないのか』と失望された顔がトラウマだった」「学校で見た目の違いをからかわれ、自分のルーツを否定したくなった時期がある」といった証言は珍しくありません。SNSやネット掲示板(5ちゃんねるやYahoo!知恵袋など)でも、「ハーフなのに英語が話せないのはおかしいのか?」という悩みが日常的に投稿されています。
近年では、こうしたバイリンガル神話の呪縛から解き放たれ、「日本育ちの日本人として日本語で自己表現を極める」スタンスを選ぶタレントが増加しています。他方で、ウエンツ瑛士さんのように30代になってから単身英国へ留学し、一から語学と演劇を学び直して実力を証明してみせるという、自律的なキャリア形成を果たすケースも高く支持されています。