ネット上の相談スレッドで頻繁に見られるのが、「採用時の契約書や就業規則に『休むときは自分で代役を立てること』と書いてあり、署名捺印してしまったから従わざるを得ない」という諦めの声です。しかし、これは明確な法的誤認です。
労働法規には「強行法規性」という大原則があります。労働基準法第13条において、同法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は労働基準法の基準に従うと定められています。つまり、たとえ就業規則や誓約書に「シフト代役探しの義務」や「見つからない場合の罰則規定」が明記されていようと、公序良俗や労働基準法に反する条項は法的にハナから無効です。
また、「当日欠勤したことで店に損害が出たから損害賠償を請求する」という脅し文句も現場で使われがちですが、日本の司法判断において、一従業員の突発的な欠勤によって生じた売上減少や追加人件費を個人の賠償責任として認めた判例は実質的に皆無です。事業主はそうした欠員リスクを想定した上で事業を営み、利益を得ているため(報償責任の法理)、そのリスクを末端のアルバイトに負わせることは法理上認められません。