吉田修一の『続 横道世之介』は、前作の舞台となった1987年の大学1年生時代から6年後、1993年の東京を舞台に幕を開けます。バブル崩壊の余波が忍び寄る中、世之介は大学を卒業したものの就職先が決まらず、パチンコとアルバイトで食いつなぐ24歳の青年になっていました。
新宿界隈の安アパートを拠点に、寿司屋の手伝いや様々な短期バイトに明け暮れる世之介。世間一般の基準で見れば、いわゆる「人生の迷走期」「スランプ」にどっぷり浸かっている状態ですが、世之介本人の底抜けの人の良さとマイペースさは何一つ変わっていません。
本作では、前作でおなじみだった大学時代の仲間たちとは異なる、社会の片隅で懸命に生きる魅力的な新キャラクターたちが世之介の日常を取り囲みます。
これらの登場人物との相関図を俯瞰すると、前作の「大学のサークルや同級生という守られた枠組み」から、本作では「社会の雑踏の中で偶然袖触れ合った人々」へと人間関係の幅が大きく広がっていることが分かります。