ファストファッションの大量廃棄問題が深刻化する中、消費者の意識は「安さ」から「物語性」へとシフトした。着物には、一着ごとに織り手の技術や、かつてそれを着た人の思い出というストーリーが刻まれている。この「一点モノ」としての価値が、個性を重視する現代の若者たちの心に刺さったのだ。
それだけではない。欧米の有名デザイナーたちが日本の伝統的なテキスタイルに注目し、コレクションの一部に採用したことも火に油を注いだ。絹(シルク)ならではの美しい光沢と独特のハリ感は、現代の化学繊維では決して再現できない。古いものを壊し、新しい価値を生み出す。このダイナミズムが、今の時代精神に完璧にフィットしている。