旧前田家本邸の洋館に一歩足を踏み入れると、タイムスリップしたかのような錯覚に陥る。イギリスのチューダー様式を取り入れた外観は、重厚なスクラッチタイルで覆われ、東京のど真ん中にいることを忘れさせる。内部の意匠も凄まじい。大理石のマントルピース、精巧な木彫りの階段手すり、そして天井を飾るシャンデリア。これらがほぼ当時の姿のまま保存されているのは、奇跡に近い。
管理スタッフによると、建物の劣化を防ぐための日常的なメンテナンスは想像以上に繊細だという。湿度管理や光の遮断など、文化財を守るための地道な努力が、この美しい空間を支えている。