観光情報誌やSNSの投稿と、現場における実態の間にはしばしば乖離が存在します。筆者が那覇市街地、中部ロードサイド、そして帰路の結節点となる店舗を定点観測して得られたリアルな光景を報告します。
まず押さえるべきは、那覇空港A&W店舗の運用実態です。国内線旅客ターミナル3階に位置する同店は、搭乗前の「最後の沖縄体験」として絶大な人気を誇ります。しかし、ピークタイム(11時〜14時、および夕方17時以降)の混雑率は極めて高く、注文から受け取りまで20分〜35分以上を要するケースが常態化しています。フライト時刻ギリギリに訪れて搭乗案内に追われる観光客の姿が後を絶ちません。空港店を利用する場合は、最低でも保安検査通過の1時間前には列に並ぶか、市街地の牧港店や美里店などのロードサイド店舗でゆとりを持って体験しておくのが賢明な戦略です。
一方、A&Wを象徴する飲料「ルートビア」を巡るリアルな反応も興味深いテーマです。サルサパリラや甘草など14種以上のハーブ・植物樹皮をブレンドしたこの清涼飲料水は、初めて口にした本土客から「湿布の匂い」「飲むサロンパス」と揶揄されることが珍しくありません。SNSや口コミサイトでも賛否が極端に二分されます。ところが、凍りつくほど冷やされたキンキンの厚手ジョッキで運ばれるルートビアを、濃厚なカーリーフライとともに喉へ流し込むと、3口目あたりから清涼感あふれる爽快感へと印象が変化します。店内利用時限定のルートビアおかわり無料サービスは、グラスが空くとフロアスタッフがサーバーから注いで回る光景が日常であり、ファンコミュニティの間では「おかわり3杯を達成して一人前」という独自のカルチャーまで共有されています。
他方、ジェフ沖縄の店舗(特に与那原店)へ足を踏み入れると、そこには観光客の喧騒とは無縁の「純粋な沖縄の日常」が広がっています。店内のテーブル席では、地元の高齢者グループがお茶代わりにゴーヤージュースを飲みながら談笑し、隣のブースでは制服姿の高校生がチキンやポテトをつまみながら自習に励んでいます。ドライブインスペースには、子連れのファミリーが車を止め、エアコンの効いた車内でぬーやるバーガーを頬張る。観光地化された表層の沖縄ではなく、生活者の呼吸がそのまま息づいている現場がそこにあります。