ネット検索を行うと「アオバハゴロモ 幼虫 毒」「刺された」「かぶれ」といった不穏な関連語句が散見されます。しかし、昆虫生態学および衛生害虫の臨床データに基づけば、アオバハゴロモの幼虫に毒性は一切ありません。ドクガやチャドクガのような有毒毛(毒針毛)を持つ毛虫とは根本的に分類が異なり、人間を刺すための産卵管や針も、噛みつく大顎も備えていません。
では、なぜ毒があるという噂が一人歩きしているのでしょうか。理由は主に2つの誤認に起因します。1つは、チャドクガの幼虫(毒針毛を持ち、触れると激痛と強烈な皮膚炎を引き起こす)が同時期に庭木に発生するため、同じ「木につく不気味な虫」として混同されてしまったケースです。もう1つは、物理的なアレルギー反応です。幼虫が身に纏う白いロウ物質は非常に微細な粉末状であるため、剪定作業などで枝を揺らした際に空気中へ飛散し、目や鼻の粘膜、あるいは敏感肌に付着して痒みや異物感を覚えることがあります。これは化学的な毒による組織破壊ではなく、ハウスダストや花粉と同じ「異物付着による物理刺激」です。
したがって、万が一素手で触れてしまったとしても慌てる必要はありません。流水と石鹸で付着した白いワックスをきれいに洗い流せば、水ぶくれや激しい炎症に発展する心配は皆無です。