『マリーゴールド』の楽曲制作における誕生秘話には、あいみょんの作家としての直感と瞬発力が如実に表れています。2017年の冬から2018年初頭にかけて、次なる代表作を模索する中で、ふと頭に浮かんだメロディとギターのストロークから一気に書き上げられたといいます。アルバム『瞬間的シックスセンス』(2019年発売)へと結実するクリエイティブの頂点において、彼女の内なる感覚が文字通り「第六感」としてスパークした瞬間でした。
その世界観を決定づけたのが、映像クリエイターの山田智和監督が手掛けたミュージックビデオです。ロケ地に選ばれたのは、急速な近代化と下町の混沌が混ざり合う中国・上海でした。
異国情緒あふれる湿り気のある街並み、雨上がりのアスファルト、そしてペニーボード(スケートボード)に乗って風を切るあいみょんの無機質かつエモーショナルな佇まい。あえて日本の夏の原風景ではなく、アジアのメガシティである上海の雑踏を選んだことにより、特定の地域性に縛られない「誰の心にもあるノスタルジー」へと昇華されました。この絶妙なミスマッチとリアリティが、若者層を中心に爆発的な支持を獲得する起爆剤となったのです。