学園ドラマの歴史において、後から振り返った際に「神がかったキャスティング」と称賛される作品は幾つか存在します。しかし、2012年放送の『黒の女教師』における都立国文館高校3年D組の座席表ほど、2026年現在のエンタメ界を牽引する主役たちが密集していた例は極めて稀です。当時のドラマスタッフが「次世代を担う原石」として見出した若手俳優たちは、現在そのほぼ全員が日本アカデミー賞の常連や朝ドラ・大河ドラマの主演へと登り詰めました。
謎めいた転校生として物語の根底を揺るがすキーマン・戸田トシオ役を演じたのは、当時SixTONES結成前でジャニーズJr.として頭角を現し始めたばかりの松村北斗でした。影のあるミステリアスな佇まいと憂いを帯びた眼差しは当時から異彩を放っており、現在の本格派俳優としての礎がすでに築かれていたことが窺えます。
一方、物語序盤で万引きの強要グループに加担させられ、夕子の「課外授業」のターゲットとなった安原カツノリ役を演じたのが山﨑賢人です。弱さと狡さを併せ持つ高校生のリアルを繊細に演じ切った彼は、のちに数々の大作アクション映画や世界配信ドラマで主演を務める国際的スターへと飛躍しました。さらに、学級の空気に翻弄される佐伯江衣花役には広瀬アリス、周囲に流される女子生徒役に土屋太鳳、繊細な内面を抱える役に杉咲花、そして当時は「太賀」名義で出演し圧倒的なリアリティを放っていた仲野太賀、生徒役の一角を担っていた千葉雄大や中条あやみまでが名を連ねています。
生徒役の総勢を見渡すと、ほかにも千葉雄大、中条あやみ、上遠野太洸、竹富聖花(現・春花)、藤原令子、大野いとなど、後のカルチャーシーンを賑わせる面々が教室の席を埋めていました。これだけの主役級タレントが1つのクラスに揃い、毎週濃密な心理戦を繰り広げていたという事実は、現代のテレビドラマ制作事情から見ても空前絶後の編成だったと断言できます。