ハゼの木の毒性と見分け方|激しいかぶれ症状と庭木の伐採・駆除法

ハゼの木の毒性と見分け方|激しいかぶれ症状と庭木の伐採・駆除法

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ハゼの木はもともと日本固有の自生種ではなく、東南アジアから琉球王国を経て、江戸時代初期に日本本土へと移入された歴史を持ちます。なぜかぶれのリスクがある危険な木を、先人たちは全国で熱心に植栽したのでしょうか。その理由は、ハゼの木がもたらす莫大な経済価値にありました。

秋が深まる10月下旬から12月上旬にかけて、ハゼの木は他のどの落葉樹よりも燃えるような赤褐色や緋色に染まります。京都の古刹や九州の庭園にハゼの木が今も点在するのは、この見事な発色を愛でるためでもありました。しかし、真の目的はその後に実る灰褐色の果実でした。

ハゼの果実の果皮と種子の間にある果肉部分には、大量の良質な植物性油脂(パルミチン酸を主成分とする脂肪)が含まれています。これを蒸して圧搾・精製したものが「木蝋(もくろう/Japan wax)」です。江戸時代、薩摩藩や筑後国(現在の福岡県久留米市・柳川市周辺)、伊予国(愛媛県)などの西日本諸藩は、ハゼノキの栽培を奨励し、木蝋の製造を藩財政を潤す一大専売事業として保護しました。

この木蝋から作られたのが「和ろうそく」です。石油由来のパラフィンワックスとは異なり、融点が高く油煙が少ないため、寺院の壁画や仏具を汚さない高級照明具として珍重されました。現代においても、伝統的な和ろうそくの製造はもちろん、大相撲の力士が結う「びん付け油」の主原料、高級化粧品の口紅やポマードの基剤として、ハゼの実から抽出される天然木蝋は欠かせない伝統素材として受け継がれています。美しさと産業価値の裏に、かぶれという代償を抱えながら共存してきた文化史がそこにはあります。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。