無限城において無一郎が遭遇したのは、鬼殺隊の開祖である「始まりの呼吸」の使い手にして、400年以上無敗を誇る上弦の壱・黒死牟でした。しかも黒死牟は、無一郎自身がその血を引く遠い先祖(継国巌勝の子孫)であるという残酷な真実が明かされます。
戦力差は絶望的でした。刀を握って2か月で柱となった神童・無一郎をもってしても、黒死牟の「月の呼吸」が放つ変幻自在の刃には手も足も出ず、開戦直後に左手首を切断され、自身の刀で柱に串刺しにされて完全に拘束されてしまいます。しかし、ここから無一郎が見せた覚悟こそが、この戦いの、ひいては無限城編全体の趨勢を決定づけました。
玄弥の助力によって柱の拘束から脱出した無一郎は、自らの血を止めることすら放棄し、特攻を決意します。不死川実弥、悲鳴嶼行冥が加勢し乱戦となるなか、無一郎は自らの死期を悟り、黒死牟の懐へ果敢に飛び込みました。その代償として右足を切断され、さらに黒死牟の全身から無数に吹き出した刃によって胴体を真っ二つに両断されてしまいます。
下半身を失い、内臓が露出するような極限状態にありながら、無一郎の瞳から光が消えることはありませんでした。黒死牟の腹部に突き刺した日輪刀を両手で握り締め、残された全生命力を万力の握力へと変換。刃を赤く染め上げる「赫刀(かくとう)」を発現させました。この赫刀の熱が黒死牟の驚異的な再生能力を内側から焼き切り、激痛と硬直をもたらしたことで、実弥と悲鳴嶼による首の切断、そして玄弥の血鬼術による拘束という決定打へと繋がったのです。