生き残ったとはいえ、相澤消太が支払った代償はあまりにも甚大でした。第一次全面戦争で右脚を切断した彼は、以降の戦いを金属製の義足を装着して挑むことになります。さらに破壊された右目は視力を完全に失い、深い傷痕とともに眼帯で覆われる姿となりました。
この肉体的損傷は、彼のアイデンティティである戦闘スタイルを根底から覆すものでした。「個性・抹消」は、自身が視界に捉えた対象の「個性の因子」を一時的に停止させる能力です。しかし、まばたきをすると効果が途切れるという構造的弱点を抱えており、もともと重度のドライアイに悩まされていた相澤にとって、片目を完全に失ったことは単独での抹消発動を著しく困難にする致命傷でした。公式発表の設定や描写を精査しても、右目の喪失によって抹消の持続時間および有効射程は大幅に低下したとされています。
しかし、ここで終わらないのが相澤消太という男の真骨頂です。第二次決戦において、彼は自らの欠損を悔やむのではなく、雄英高校ヒーロー科B組の物間寧人に自身の「抹消」をコピーさせ、物間の視界を補助・同期させるという極限のバックアップ体制を構築。さらに、かつて自ら指導した心操人使の「洗脳」を活用するなど、持てる戦術資源をすべて組み合わせて死柄木の能力を封じ込めました。己の五体を削り取られようとも、冷静に勝率を1パーセントでも引き上げる「合理的判断」は、バトル漫画の歴史においても屈指の壮絶さを放っています。