映画公開から歳月が経過した現在、主演の3人が日本のエンターテインメント界の第一線で圧倒的な存在感を放ち続けている事実は、本作のキャスティングの先見性を証明しています。
吉高由里子(ルイ役)の現在と覚悟の現場秘話
当時19歳、無名に近かった吉高由里子は、オーディションで蜷川幸雄監督に見出され、ヌードシーンや過激なベッドシーンを含む難役に体当たりで挑みました。撮影直前に交通事故で大怪我を負い、生死を彷徨った経験を経て現場に復帰したエピソードは広く知られています。当時の特番インタビューや手記において、吉高は「あの現場で自分のリミッターがすべて外れた」と述懐しており、本作で見せた剥き出しの狂気と透明感は、第32回日本アカデミー賞新人俳優賞やブルーリボン賞新人賞の受賞へと結実しました。NHK大河ドラマ主演をはじめ、国民的女優としての地位を不動のものにしています。
高良健吾(アマ役)とARATA/井浦新(シバ役)の躍進
赤髪モヒカンに顔面ピアスという過激なビジュアルでありながら、ルイに対して純真無垢な愛を注ぐアマを演じた高良健吾。当時20代前半の荒削りながらも胸を打つエモーショナルな演技は、映画関係者から絶賛を浴びました。その後、数々の映画賞を獲得し、日本映画界に欠かせない演技派俳優としての確固たるキャリアを築き上げています。
一方、冷酷なサディスト・シバを怪演したARATA(現・井浦新)は、モデル出身の端正な容姿の裏に潜む底知れぬ狂気を静かに体現しました。蜷川監督による徹底した演技指導のもとで開花したその表現力は、その後の多彩なドラマ・映画での重厚な役どころへと直結しています。劇中でわずかな出番ながら強烈なインパクトを残した小栗旬や藤原竜也を含め、2000年代日本映画の才能が結集した奇跡的なキャスティングであったと評価できます。