犬吠様咳嗽が出ている子供に対し、今すぐ救急外来へ行くべきか、救急車を呼ぶべきか、それとも朝まで経過観察が可能なのか。その判断基準は「咳の音の大きさ」ではなく「呼吸困難の兆候(努力呼吸の有無)」にあります。
以下のチェックリストに基づき、該当する症状を確認してください。
【即座に救急車(119番)を呼ぶべき最重症サイン】
- 唇、舌、顔全体が紫色・土色に変色している(チアノーゼ)。
- 呼びかけに対する反応が鈍く、視線が合わない、ぐったりして意識が朦朧としている。
- 横になることを嫌がり、座ったまま前かがみになって必死に呼吸している(起坐呼吸)。
- 強い唾液(よだれ)を飲み込めずに口から垂れ流している(急性喉頭蓋炎の疑い)。
- 呼吸のたびに胸とお腹が互い違いに激しく上下している(シーソー呼吸)。
【深夜でも自家用車やタクシーで夜間救急外来を受診すべきサイン】
- 陥没呼吸(かんぼつこきゅう):息を吸う瞬間に、鎖骨の上、左右の肋骨の間、みぞおちがペコペコと深く窪む。
- 安静時の吸気性喘鳴:泣いたり興奮したりしていない、静かにしている状態でも息を吸うたびに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音が鳴る。
- 鼻翼呼吸(びよくこきゅう):呼吸に合わせて小鼻がピクピクと大きく広がる。
- 水分を一口も飲み込めず、苦しくて眠ることができない。
【翌朝の小児科診療開始を待って受診しても良い条件】
- 犬吠様咳嗽(ケンケン咳)はあるが、安静時は喘鳴がなくスースーと穏やかに眠れている。
- 顔色が良好で、水分が十分に摂取できている。
- 陥没呼吸や鼻翼呼吸などの努力呼吸が見られない。
病院での治療では、即効性のある「アドレナリン(ボスミン)吸入」を行って血管を収縮させ粘膜の浮腫を引かせる処置や、中長期的な抗炎症効果を持つ「ステロイド薬(デキサメタゾン内服シロップやブデソニド吸入)」の投与が行われます。早期に適切な吸入治療を受けることで、大半のケースは入院を回避し数時間で呼吸が劇的に改善します。