行平あい佳を語る上で欠かせないのが、その特異な経歴です。
日活芸術学院を卒業後、彼女は最初から表舞台に立ったわけではありませんでした。映画のメイキング撮影や助監督、制作部といったハードな裏方の現場で長年汗を流し、映画作りの構造を骨の髄まで叩き込まれました。カチンコを鳴らし、現場を走り回り、スタッフの苦労を誰よりも理解しているからこそ、彼女の現場対応力と演出意図を汲み取るスピードは群を抜いています。
その後、女優へと転身。城定秀夫監督をはじめとする気鋭の映画監督たちに見出され、身体と言語を極限まで使った演技で一躍脚光を浴びました。映画制作の「裏と表」を知り尽くしていることこそが、彼女の芝居に唯一無二の奥行きと説得力を与えています。