本作が多くの視聴者に強烈な不快感とトラウマを残す理由は、単なるスラッシャーホラーにとどまらない「人間の生々しい悪意と欺瞞」の二重構造にあります。
第一に、外部の侵入者である原のビジュアルと行動の異様さです。暗闇の屋根裏から家族の営みを見下ろし、赤ん坊の泣き声に合わせて乳房を含ませようとする執着は、生理的な嫌悪感を極限まで刺激します。
第二に、被害者側であるはずの主人公・清自身のグロテスクな内面です。清は一見すると家族思いの良き父親ですが、その実態は家庭外での不倫を繰り返し、過去には実家で起きた火災事件において兄に罪を被せて見殺し同然にしたという冷酷な自己保身の持ち主でした。完璧に見えた「理想のマイホーム」は、家族全員が欺瞞と秘密の上に築いた砂上の楼閣に過ぎず、原という怪物の手によってその醜態が白日の下に晒される構図が、観る者に拭い去れない後味の悪さを突きつけます。