ネット上に溢れる「犬おもしろ動画」を視聴する際、多くのユーザーが無意識に見落としている危険な盲点があります。それは、画面の中の愛犬が発しているカーミングシグナル(不安や葛藤を示すボディーランゲージ)の存在です。
動画内で犬が口元をしきりにペロペロと舐める(リップリッキング)、白目を大きく見せる(ホエールアイ)、あるいはあくびを連発している場合、それは「リラックスして楽しんでいる」のではなく、「極度の緊張と混乱状態にある」ことを示しています。二足歩行風に見せるウェアは、前肢の可動域を狭めるカッティングになっているケースが多く、歩行時の関節に不自然なトルクをかけます。特にパグやシー・ズーなどの短頭種、ダックスフントのように胴長短足の犬種に窮屈なコスチュームを着せる行為は、呼吸困難や椎間板ヘルニアの引き金になりかねません。
また、犬おもしろコスプレ人気に乗じて流通している低価格帯の衣装には、ボタンやチャーム、プラスチックの眼球パーツが接着剤だけで粗雑に取り付けられているものが目立ちます。犬が衣装の違和感を解消しようと体を舐めたり噛んだりした際、これらの小さなパーツを誤飲・誤食する事故は動物病院の臨床現場でも頻繁に報告されています。「数分の撮影だから大丈夫」という飼い主の油断が、開腹手術を伴う重大事故につながるリスクを忘れてはなりません。