時計の針を2014年8月1日に戻します。FIBAバスケットボール・ワールドカップを目前に控え、ネバダ州ラスベガスのトーマス&マック・センターで開催されていた男子アメリカ代表(チームUSA)のエキシビションマッチ(紅白戦)。当時、インディアナ・ペイサーズのエースとしてレブロン・ジェームズ率いるマイアミ・ヒートと激闘を演じ、リーグ屈指のスターダムを駆け上がっていたポール・ジョージは、ホワイトチームの主力として先発出場していました。
悪夢が訪れたのは第4クォーター開始早々の場面でした。相手ガードのジェームズ・ハーデンが速攻から放ったレイアップに対し、持ち前の跳躍力でブロックに跳んだジョージは、着地した瞬間にゴール下ベース(バックボードを支えるスタンション支柱)のパッドに右足を引っ掛けてしまいます。体重と強烈な慣性モーメントが一点に集中した結果、右足の脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)が真っ二つに折れ曲がり、骨の一部格が皮膚を突き破る開放骨折(開放性複合骨折)を発症しました。
NBAにおけるポール・ジョージの骨折の瞬間は、全米に生中継されていたテレビカメラにも捉えられていました。異様な角度に折れ曲がった右足を見たチームメイトのカイリー・アービングやジェームズ・ハーデンは頭を抱えて涙を流し、アリーナ全体が完全な静寂に包まれました。現地医療スタッフが即座にコートへ駆けつけ、現場を指揮していたマイク・シャシェフスキー(コーチK)ヘッドコーチは即座に試合の打ち切りを決断。ポール・ジョージは担架で固定され、ラスベガス市内の病院へと緊急搬送されました。