ネット上で「生きているぬいぐるみ」「世界一可愛い」と絶賛され、爆発的なバズを生み出し続けている主役こそが、スイス原産の「ヴァレー・ブラックノーズ」だ。ヴァレー州の険しい山岳地帯で数百年ものあいだ過酷な気候に耐え抜いてきたこの希少種は、漆黒の顔、膝や足首にあしらわれた黒い斑点、そして優雅なぜんまい状の巻き角を持つ。瞳がどこにあるのか判別できないほどの深い黒色と、全身を覆うボリューミーなドレッドヘアのような巻き毛のコントラストは、一度見たら忘れられない。
一方で、日本の観光牧場や食文化において圧倒的な知名度を誇るのが「サフォーク種」だ。イギリス東部のサフォーク州原産で、つるりとした毛のない黒い頭部と引き締まった黒い四肢が特徴。ヴァレー種のような角はなく、すっきりとした精悍な顔立ちをしている。同じ黒顔であっても、アルプスの岩場を生き抜くための防寒仕様であるヴァレー・ブラックノーズと、平原で育まれ肉用として改良されてきたサフォーク種とでは、骨格も毛質もまったく異なるアプローチで進化を遂げてきた。