インターネット上には「ケアハウスは国が補助してくれる格安老人ホームだから、早く申し込んで一生暮らすのが最も賢い」といった短絡的な情報が散見されます。しかし、現場の最前線ではこうした言説の誤りが白日の下に晒されています。
決定的な盲点となるのが、「ケアハウス退去要件」の厳格さです。一般型ケアハウスの重要事項説明書には、退去事由として以下のような条件が明確に記載されています。
1つ目は、「常時見守りや医療処置が必要となった場合」です。具体的には、認知症による暴言・暴力・徘徊、重度の褥瘡(床ずれ)、人工呼吸器や経管栄養(胃ろう・腸ろう)の導入、持続的な喀痰吸引などが挙げられます。ケアハウスの配置基準上、夜間の介護職員配置は義務付けられておらず、宿直者1名のみで数十人を対応するケースが一般的です。医療的ケアが必要になった入居者を抱え続けることは、物理的に不可能な構造となっています。
2つ目は、「利用料の長期滞納」です。公的施設とはいえ、3ヶ月以上の滞納で契約解除条項が発動します。そして3つ目が、「外部介護サービスの区分支給限度額オーバー」です。一般型ケアハウスでは、要介護度が上がると利用する訪問介護やデイサービスの回数が増加します。要介護4や5になると介護保険の限度額いっぱいに達し、自己負担上限額を超えた分は全額自費となります。結果として、民間の有料老人ホームより月額総支払額が高額化し、経済的理由で住み続けられなくなる逆転現象が発生しています。
また、2026年現在の経済環境もケアハウスの経営を直撃しています。長引く物価高騰と光熱費の上昇により、従来「月額8万円台」で収まっていた施設が、管理費や食事提供加算を1万〜2万円引き上げる改定が相次いでいます。「年金だけで絶対に賄える」という思い込みは、制度改定とインフレの波によって過去のものとなりつつあります。