料理の世界から自動車の世界に視点を移すと、グリルは車両の生命線ともいえる重要機構として君臨してきました。
自動車の最前部に位置するフロントグリル 役割は、背後に配置されたエンジンや熱交換器を冷却するための空気を取り入れることです。正式にはラジエーターグリル 機能と呼ばれ、ラジエーターコアに冷たい外気を送り込んで冷却水を冷やし、エンジンのオーバーヒートを防ぐ呼吸口の役目を担っています。
同時に、フロント部は「車 グリル デザイン」として各メーカーのブランドアイデンティティを決定づける最重要部位です。BMWの「キドニーグリル」、レクサスの「スピンドルグリル」、ジープの「7スロットグリル」など、グリル形状を見るだけでブランドを識別できる視覚的アイコンとなっています。
2020年代半ばから2026年にかけて、パワートレインのEVシフトが進んだことでグリルには劇的な構造変化が起きています。大排気量エンジンを積まない電気自動車は大量の冷却風を必要としないため、前面をパネルで覆う「グリルレス(スマートサーフェス)」デザインが急増しました。しかし、完全になくなるわけではありません。先進運転支援システム(ADAS)用のミリ波レーダーやLiDARセンサー、カメラを保護・内蔵し、必要時のみ開閉する「アクティブグリルシャッター」として、ハイテクパーツへの再定義が進んでいます。