桑野信義の原点は、1980年に「シャネルズ」としてメジャーデビューし、後に「ラッツ&スター」へと改名した伝説的ドゥーワップ・グループにあります。鈴木雅之、田代まさし、佐藤善雄らとともに『ランナウェイ』『め組のひと』『Tシャツに口紅』など数々のミリオンヒットを記録しました。
プロジャズトランペッターの父・桑野信幸氏の血を受け継いだ桑野のトランペットは、ソウルフルかつ哀愁を帯びたトーンが特徴です。グループのサウンドに欠かせないブラスアクセントとして、日本のポップス史に確固たる足跡を残しました。
その後、バラエティタレントや俳優としても多才な活躍を見せましたが、桑野のアイデンティティの中心には常に「トランペット」がありました。大腸がんの手術後、肺活量や腹圧が著しく低下し、一時は音を出すことすら困難だった時期がありました。しかし、愚直な呼吸法のリハビリを毎日何時間も繰り返すことで、往年の輝かしいブラスサウンドを再獲得したのです。