診断が確定した場合、直ちに治療が開始されます。治療の基本は、新たな血栓の形成を防ぎ、生体自身の溶解能力を促す薬物療法です。
日本および国際的な肺血栓塞栓症ガイドラインに準拠した標準治療は以下の通りです。
- 抗凝固療法:直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)やヘパリンを用います。初回発症で誘因(一時的な手術や長距離フライトなど)が明確な場合の抗凝固療法治療期間は原則3〜6ヶ月間とされています。一方、原因不明の発症やがんを合併しているなど再発リスクが高い患者では、長期または無期限の継続が推奨されます。
- 血栓溶解療法・カテーテル治療:ショックを伴う最重症例では、強力な血栓溶解薬(t-PA)の点滴や、血管内から血栓を直接破砕・吸引するカテーテル血栓溶解療法(カテーテル的血栓回収術)が選択されます。
- 下肢静脈フィルター留置:抗凝固療法が禁忌(出血リスクが高いなど)の場合や、再発を繰り返すケースでは、下大静脈に金属製フィルターを一時的に留置して肺への血栓流入を物理的に遮断します。