俳優としての彼の魅力を語る上で、音楽家としてのバックボーンを外すことはできない。カメラの前で見せる絶妙な立ち振る舞いは、即興演奏(インプロヴィゼーション)の緊張感と地続きだ。相手役の発声や空気の変化を鋭敏に察知し、自らのリアクションをビートに乗せるように返す。そのスピード感と柔らかさこそが、彼の演劇的ダイナミズムを支えている。
セリフを「言う」のではなく、「奏でる」。だからこそ、彼の演じるキャラクターは過剰な演出がなくても強烈な印象を残す。コメディの場面で爆発的な笑いを生む瞬間も、シリアスな場面で静かな哀愁を漂わせる瞬間も、すべては彼の中に流れる確かなテンポ感が生み出した産物なのだ。