「私たちが対峙しているのは、もはや従来の図鑑に載っているようなクマではない」
長年フィールドワークを続けてきた野生動物研究者の田中茂氏は、現場調査の後に重い口を開いた。田中氏によれば、過疎化によって人間と野生動物のバッファーゾーン(緩衝地帯)が消失したことが、人里への頻繁な出没を招いているという。長年この問題を追及してきた環境省も、指定管理鳥獣の捕獲枠拡大やデジタル技術を活用した広域モニタリングシステムの導入に踏み切った。
しかし、従来の行政手続きやマニュアルに依存した鳥獣被害対策には、現場から限界を指摘する声が上がっている。野生動物の適応能力が人間の対策スピードを上回っている現状において、制度の抜本的な見直しが急務となっている。