キャラクタースケールの考察を深めると、青山剛昌先生が意図した物語構造上の狙いも見えてきます。本作の根幹にあるのは、「中身は高校生名探偵だが、外見は非力で無力な子ども」という強烈なギャップです。
事件現場において大人たちから「邪魔だ、あっちへ行け」とあしらわれたり、足元をすり抜けて証拠を探したりするアクションを成立させるためには、視覚的に「圧倒的な小ささ」を提示するほうが物語としての説得力が増します。もしコナンがリアルな102cm(大人の腰近くまであるしっかりした児童体型)として厳密に描かれ続けた場合、現場をちょこまかと動き回る愛らしさや、大人の死角を突くトリッキーな動きの演出意図が薄れてしまう恐れがあります。
つまり、アニメ制作陣はリアリズムとしての寸法よりも、アニメーション表現としての視認性・ドラマ性を優先して画面を構成しているのです。原画マンや演出家ごとにカット単位で生じる匙加減の違いも含め、ダイナミックな画面作りを追求した結果生まれた「計算されたケレン味」と言えます。