実際の歴史を紐解くと、竹鶴政孝と鳥井信治郎の関係は単純な対立構造などでは断じてなかった。本場スコットランドで本物のウイスキー造りを学んで帰国した竹鶴の技術と、日本人の繊細な味覚に合わせたブレンドを追い求めた鳥井の経営手腕。この二人の奇跡的な出会いがなければ、現在の日本ウイスキーの繁栄はあり得なかった。
山崎の地で共に最初の本格ウイスキー造りに挑んだ二人は、互いの美学と譲れない譲歩の境界線で火花を散らした。しかし、それは企業間の憎しみなどではなく、未開の地に新たな文化を根付かせようとするパイオニア同士の熱き魂のぶつかり合いであった。ドラマで誇張された愛憎劇の裏には、互いを認め合っていた真のパートナーシップが存在していたのだ。