SNSや整理収納術で絶大な人気を誇るベルベット調(起毛素材)の「すべらないハンガー」ですが、濡れたセーターの物干しにそのまま流用するのは大きな盲点があります。
繊維が濡れている状態のニットは、乾いている時と比べて摩擦抵抗が格段に増大しています。起毛加工されたハンガーに濡れたセーターを通すと、生地とハンガーが強力に密着し、水分が抜け落ちていく過程でニットの編み目が特定の位置に固定されてしまいます。その結果、すべらないハンガーによるセーター跡がくっきりと肩に残ってしまい、通常のプラスチックハンガーよりも頑固な凸型ジワが定着してしまう事例が多発しています。
また、「脱水を短くすればシワにならない」というネット上の言説を過信して脱水時間を10秒程度にとどめると、セーター内に大量の水分が残留します。水分の重みで編地が縦方向に引っ張られ続け、結果的に着丈が5〜10cmも伸びてしまう「裾伸び事故」につながります。脱水は洗濯ネットにきっちり畳んで入れた上で、30秒から1分程度しっかりと水分を飛ばすことが、型崩れを防ぐための物理的な鉄則です。