神経学的診察において、バビンスキー反射の検査は極めて簡便でありながら高い感度を持ちます。ただし、正確な手技を用いなければ誤った判定につながりやすいため、医師は厳密な手順に沿って評価を行います。
患者を仰臥位(仰向け)にし、下肢の力を完全に抜かせた状態で、打診器の柄の先や先の丸い棒状の器具を用います。刺激は踵の外側からスタートし、足の外縁に沿ってゆっくりと上行させ、小指の付け根付近から親指の付け根に向かって弧を描くように内側へ動かします。このとき、強く痛めつけるような刺激や、足裏の中央を強く刺激することは避けるのが鉄則です。
もし足底の感覚過敏や強い逃避反応によって正確な判定が難しい場合、神経内科医は以下の「バビンスキー群の同類反射(病的反射の鑑別)」を併せて実施します。
- チャドック反射(Chaddock reflex):外くるぶしの下から前方を半円状に擦る。
- オッペンハイム反射(Oppenheim reflex):脛骨(すねの骨)の内側を親指と人差し指で上から下へ強く撫で下ろす。
- ゴードン反射(Gordon reflex):ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)を強く握る。
- シェーファー反射(Schaeffer reflex):アキレス腱を指で強くつまむ。
これらはいずれも、陽性であればバビンスキー反射と同じく親指が背屈する反応を示し、錐体路障害を裏付ける強力な証拠となります。
なお、錐体路障害が疑われる状況であってもバビンスキー反射が「出ない理由」としては、末梢神経障害(糖尿病性ニューロパチーなど)が合併して感覚や筋出力自体が低下しているケースや、急性期のショック期(脊髄ショック期など)で一時的にすべての反射が消失している状態が考えられます。