彼女の原点は占術家ではない。東京・渋谷のガード下で育ち、若くして銀座に乗り込んだ凄腕のクラブ経営者、それが細木数子の出発点だった。政財界の重鎮から夜の街を取り仕切る実力者までを手玉に取り、莫大な資金を動かす中で培われた胆力。これこそが、後の彼女を支える最大の武器となる。
1980年代に発表した「六星占術」の大ヒットは、緻密に計算されたセルフプロデュースの賜物だった。運命星を割り出し、人の生死や吉凶を断定する強烈な語り口。不安を抱える大衆の心理を鷲掴みにし、著書は毎年のようにベストセラーチャートを独占した。夜の街の帝王学と大衆心理の掌握。その二つが融合した瞬間、前代未聞の占い師ビジネスが完成したのである。