物語の前半、視聴者の涙腺を幾度となく刺激したのが、広瀬すず演じるなつと、草刈正雄演じる頑固一徹な祖父・柴田泰樹との濃密な関係性だ。身寄りをなくし、怯えながら十勝にやってきた孤独な少女を、泰樹は甘やかすことなく、酪農の厳しい労働を通じて一人の人間として対等に受け止めた。
「ちゃんと働けば、ここは誰もお前を責めない」――泰樹が発した無骨ながらも深い慈愛に満ちた言葉の数々は、なつの生きる礎となった。過酷なロケ地で泥にまみれ、搾乳や牛の世話を身体に叩き込みながら役と同化していった広瀬すずの眼差しは、放送を重ねるごとに力強さを増していった。台本を超えて二人の間に流れた本物の信頼感が、虚構のドラマを現実以上の重みを持つ叙事詩へと昇華させた瞬間だった。