フリーレンという複雑なキャラクターに命を吹き込んだ種﨑敦美の演技力は、アニメ界に衝撃を与えた。感情の起伏が表に出にくいエルフという役柄でありながら、声のトーンの僅かな揺らぎだけで、数千年の孤独と人間への興味の発芽を表現してみせたのだ。
種﨑はこれまでにも多様な役柄を演じ分けてきた実力派だが、本作で見せたニュートラルな立ち振る舞いは彼女のキャリアにおいても異彩を放つ。スタジオでの収録では、指示を忠実に守りつつも自らの直感を研ぎ澄ませ、セリフにならない息の抜き方一つにまで細心の注意を払っていたというエピソードが残っている。