暴走族文化や旧車會カルチャーを語る上で、CBR400Fの存在感を抜きにすることはできません。同年代にはカワサキ・Z400GPやヤマハ・XJ400、スズキ・GSX400Fなど各社を代表する名機が存在していましたが、こと「ストリートのコール技術(アクセルワークによるリズム演奏)」や「族車仕様としての華やかさ」において、CBR400Fは群を抜いた評価を獲得してきました。
当時を知るベテランライダーや愛好家の証言によると、その理由は「アクセルレスポンスの鋭さと独特の排気音(通称:鳴き)」に集約されます。スロットルを小刻みに煽った際、吸排気の抜けの良さとエンジンの回転落ちの鋭敏さが絶妙にマッチし、他車種では再現できない高音の「キレ」を生み出します。ストリートシーンにおいて、排気音で存在を誇示するパフォーマンスが高度化していく過程で、CBR400Fはまさに「楽器」としての資質を完璧に備えていたと言えます。
さらに、角型断面パイプフレームと角型ヘッドライト、エンジン下部のオイルクーラーといったメカニカルな造形美は、後のカスタムベースとしても抜群のプロポーションを誇りました。昭和の暴走族全盛期から平成の旧車會イベント全盛期、そして令和のネオクラシック再評価に至るまで、その求心力は衰えるどころか神格化の域に達しています。