痛む場所が右側か左側か、あるいは全身症状を伴うかによって、身体が発しているサインを具体的に読み解くことができます。
1. 右側の背中が痛む場合
咳とともに右側の背中や肩甲骨付近に強い痛みがある場合、右肺の肺炎や気胸のほか、胆嚢炎や肝炎などの消化器系臓器からの関連痛が疑われます。右の肋骨下から背部にかけて刺し込むような痛みがあり、油っこい食事の後に悪化する場合は消化器由来の可能性も考慮しなければなりません。
2. 左側の背中が痛む場合
左側の背部痛で最も警戒すべきは、心臓や大動脈などの循環器疾患です。咳をきっかけに発症する狭心症や急性心筋梗塞、あるいは大動脈解離では、左肩から背中にかけて引き裂かれるような激痛が走ることがあります。また、左肺の気胸や、膵炎による放散痛も左背部に現れやすい典型例です。
3. 熱なしで激痛・息苦しさを伴う場合
「熱はないから風邪ではない」と油断していると、気胸(自然気胸・続発性気胸)を見落とす危険があります。肺の表面にできた嚢胞(ブラ)が咳の圧力で破れ、胸腔内に空気が漏れ出すと、肺が押しつぶされて突然の激痛と強烈な息苦しさが襲います。特に痩せ型の若年男性や、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を患う高齢者に好発します。
4. ピンポイントで触ると激痛が走る場合(肋骨疲労骨折)
咳をした瞬間に「パキッ」と胸や背中に響く感覚があり、特定の肋骨を押すと飛び上がるほどの激痛(圧痛)がある場合は、肋骨の疲労骨折が強く疑われます。高齢者や骨密度が低下している女性だけでなく、激しい咳が1〜2週間続いた若い成人でも十分に起こり得る外傷です。