「10年前の東京競馬場とは、空気感がまるで違います」
そう語るのは、競馬記者歴20年のベテランジャーナリストだ。かつて競馬場といえば、新聞と赤ペンを手にした年配の男性ファンが主流だった。しかし現在、スタンドを覆うのは鮮やかなカジュアルウェアに身を包んだZ世代の若者たちだ。
彼らは単に馬券を買うために集まっているのではない。かつてゲームの中で知った伝説の馬たちの血を引く「子孫」たちの走りを一目見ようと、早朝から開門を待つ。パドックでカメラを構える女性ファンの数は年々増加しており、馬の毛並みや脚元を専門家顔負けの眼差しでチェックする姿も珍しくない。JRAが発表した最新データでも、若年層の入場者数および電話・インターネット投票会員の比率は5年前と比べて飛躍的に伸びており、メディアミックスによる新規顧客開拓の最も成功したモデルとして業界内外から熱い視線が注がれている。