悲劇の背景を追う上で忘れてはならないのは、岡田有希子がまさに芸能界の頂点に立とうとしていた80年代アイドルの象徴であった事実だ。オーディション番組での優勝をきっかけにデビューを果たし、1984年には日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞。その透明感あふれる笑顔と卓越した歌唱力は、全国の若者を魅了してやまなかった。
遺作となった大ヒット曲「くちびるNetwork」は、作詞を竹内まりや、作曲を坂本龍一という当時の音楽界を代表する豪華クリエイター陣が手掛けた名曲である。カネボウの化粧品CMソングとしても広く親しまれ、オリコンチャートで1位を獲得。昭和芸能史のゴールデンエージを華やかに彩ったその輝きは、あまりにも短く、そして眩いものだった。