プロデューサーの青沼英二は、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』においてプレイヤーの感情を揺さぶる緩急を徹底的に計算した。自由闊達に山を登り、空を滑空できるオープンワールドの広大な解放感。その直後に叩きつけられるのが、このアジトにおける「一切の自由を奪われる閉塞感」と「発覚の恐怖」だ。
このコントラストが、アクションアドベンチャーゲームとしての体験を劇的に引き締める。無敵に近い力を手に入れつつあったプレイヤーに対し、強行突破を無力化して原初的なスリルを突きつける。任天堂が培ってきたレベルデザインの粋が、この狭い渓谷の拠点に凝縮されていると言っていい。見張り兵の視線誘導、足音の反響、そして間抜けでありながら冷酷な敵AI。それらすべてが、プレイヤーに緊張と緩和の極致を味わわせるために精密に配置されている。