「蒸すという調理は、引くことの美学です」と厨房で目を光らせる総料理長は語る。炒める、揚げるという足し算の調理法とは異なり、蒸し料理は余分な脂を落とし、素材本来の純度を高める作業に他ならない。豚肉や牛肉の脂身は驚くほど軽やかになり、赤身の繊維にはしっとりとした肉汁が留まる。
蒸気温度と秒単位の時間管理。ただ蒸籠に並べて待つだけではない。根菜の固さ、葉物の厚み、肉のサシの入り具合を見極め、時間差でせいろに投入していく職人技があるからこそ、すべての具材が奇跡的な歯ごたえとジューシーさを同時に保てる。この徹底した職人技が、オーガニック・ヘルシー和食というジャンルを一段高い芸術へと昇華させている。